コンタクトレンズ装用と角膜障害

コンタクトレンズは角膜(黒目)にのせて(触れて)いるので、注意して使用していても症状がでることがあります。
ここではコンタクトレンズ装用者におきやすい症状を紹介します。

※角膜の構造

点状表層角膜炎


原因:角膜上皮細胞の酸素欠乏・コンタクトレンズの過剰装用・ドライアイ

症状:角膜の1番上側の上皮(※)に文字通り点状の傷が入ってしまうもので、痛み・充血・涙・まぶしさ等の症状が出ることが多いようです。

治療:コンタクトレンズの装用を2,3日中止し点眼薬を使用すれば治るようですが、症状が治まっても念のため、再度受診してコンタクトレンズの使用を再開しても大丈夫か、診てもらってから装用を始めた方が良いと思います。重症化すると角膜上皮びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍へと進んでしまうことがあります。

角膜上皮びらん


原因:角膜上皮細胞の酸素欠乏・コンタクトレンズの過剰装用

症状:コンタクトレンズのこすれや点状表層角膜炎が悪化して、角膜の上皮(※)が広い範囲に渡って剥がれてしまう状態で、軽度なら異物感や眼がしみる程度ですが、重度では眼の腫れ、強い眼痛・充血を起こすこともあります。

治療:症状が非常に軽い場合は、感染予防の抗菌点眼薬をするだけということもありますが、通常は抗菌薬の眼軟膏を塗布して、眼帯で保護します。鎮痛剤の内服薬が処方されることもあるようです。程度によって、コンタクトレンズの装用を1週間中止(痛みなどで装用出来ないと思いますが)することが必要です。

角膜浸潤、角膜潰瘍


原因:角膜上皮細胞の酸素欠乏・コンタクトレンズがこすれることによってできた傷が炎症を起こしてしまうことで発症します。

症状:角膜浸潤は傷が出来て炎症が上皮及び実質(※)まで達してしまっている状態で、更に悪化すると、部分的に上皮が欠損しより深い層まで症状が進行し角膜潰瘍に至ります。角膜浸潤、角膜潰瘍はコンタクトレンズ装用における症状の中では重度で失明してしまうこともあります。なかでも角膜潰瘍は、傷が治っても角膜の濁りが残り、視力が低下してしまうことがあります。

治療:角膜上皮びらんと同様基本的に抗菌点眼薬、眼軟膏を使用します。角膜潰瘍で重度の場合、入院して点滴をすることもあるようです。程度によって、コンタクトレンズの装用を2週間中止することが必要です。

角膜血管新生


原因:角膜上皮(※)細胞の酸素欠乏

症状:自覚症状はまれで、無血管で無色透明の角膜に、血管が伸びてきます。
血管は周囲に淡い混濁を伴い先端でループ状を示します。血管が直線的なほど活動性が高いが、瞳孔領に達することはまれです。

治療:コンタクトレンズの装用時間を短縮し、酸素透過性の良いレンズを使用することが重要です。

角膜内皮細胞の減少

角膜の一番内側の層を内皮(※)といいます。内皮は細胞一層で形成されており、細胞数が減少すると細胞が欠けたスペースをひとつひとつの細胞が大きくなって埋めます。他の細胞と違い、再生しない細胞です。

正常な状態

減少している状態
原因:角膜上皮(※)細胞の酸素欠乏・コンタクトレンズの長時間、長期装用

症状:自覚症状はなく、内皮細胞が減少している状態です。
※細胞数が1500個以下になると、白内障手術後のトラブルが増加し、1000個以下になると白内障手術が受けられないこともあります。
700個以下になると失明の危険がありますので、コンタクトレンズを長期装用している方、白内障手術をお考えの方は注意が必要です。

コンタクトレンズ装用上の注意

上記の疾患は、いずれも角膜上皮(※)細胞の酸素欠乏・過剰装用が主な原因です。
コンタクトレンズをしていると、眼がどうしても酸素不足の状態になってしまいます。そうならない為には、酸素の通りが良いレンズを使って、眼に十分な酸素を送ることが重要です。
また、長時間装用をしてしまったら、次の日は装用をお休みするなど、眼にも休息を与えてあげましょう。

点状表層角膜炎はドライアイでも症状がでるので、同時に眼を保護する点眼薬を用いましょう。
角膜浸潤、角膜潰瘍はコンタクトレンズがこすれることによっても症状がでるので、コンタクトレンズのフィッティングが合っているのか、定期健診などの際に確認しましょう。

2週間タイプ、長く使えるタイプのコンタクトレンズを使用している場合は、しっかり汚れを落とし、毎日手入れを忘れずに行って下さい。綺麗なレンズを使うことも重要です。

コンタクトレンズは眼の状態、生活スタイル等も考慮して選びましょう!

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